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ウェブサイトのアクセス解析や分析に欠かせない定番ツールと言えば、Googleアナリティクスやサーチコンソールが有名です。
Googleデータポータルを利用すれば、これらのデータと連携して驚くほど見やすく運用しやすいアクセス解析レポートを作成することが可能です。
本記事では、Googleデータポータルで作成したアクセス解析レポートの見方と合わせて、レポートを読む上で知っておきたい用語について、当社で実際に使用しているレポートを例に解説していきます。
レポートの目的
アクセス解析レポートを作成する目的はウェブサイトの目標と連動しています。
例えばECサイトの場合、売上を上げることが目標(コンバージョン)となります。では、売上を上げるためにどのような施策を行えばより効果的にコンバージョンにつなげられるでしょうか。
具体的な施策を考えるためには、まずウェブサイトの状況を把握することが大切です。
アクセス解析からわかるウェブサイトの情報
- PV数(ぺージビュー数)
- サイトへの流入経路(自然検索経由 / 広告経由 / メルマガ経由 など)
- 検索パフォーマンス(検索結果の表示回数やクリック数 など)
- 検索クエリ(どのような検索キーワードでサイトに訪れたか)
- サイト内でよく見られているページの傾向
- 売上につながりやすいページの傾向
- 売上につながりやすいユーザーの流入元
- ユーザーが離脱したページ
- ユーザーの年齢や性別
- ユーザーのデバイス比率
- 広告の費用対効果
これらの情報を得ることで何がわかるでしょうか?
「今月はPVが大幅に増えた」「今月は売上がよかった」といった感想を得るためにレポートを作成するのではありません。
ひとつひとつを見れば単なるデータでしかありませんが、具体的で客観性が高い定量的なデータを分析することでユーザーの行動心理を読み解き、コンバージョンにつながる改善ポイントを探っていくことが重要です。
ウェブサイトの目標設定やゴールを意識した上でアクセス解析レポートを見てみると、新たな課題や発見が見えてくるはずです。
レポートの見方と用語説明
アクセス解析レポートを見る際、専門用語が多く分かりづらいという方も多いことでしょう。
ここからは当社で実際に使用しているアクセス解析レポートを例にして、レポート内の主要な指標や「用語の意味」「数値の優劣」などのポイントを交えて解説していきます。
なお一部指標については例外や独自のカウントルールが存在するものもありますが、ここではレポートを見る際に必要な情報に絞ってお伝えします。
なお、本記事で利用しているレポート上の数値はデータ加工をしており、特定サイトの内容を示すものではありません。
またデータ加工の都合上、一部データラベルや数値について非表示にしています。
KPIサマリ
KPI(重要業績評価指標)とは目標の達成度合いを計測するための定量的な指標のことです。
レポート内におけるKPIサマリとは、ウェブサイトにおける目標を達成するための主要な指標やデータを可視化できるようにまとめたものです。
月間PV(ページビュー)
PV(ぺージビュー)とは、ユーザーが閲覧したウェブサイトのページ数のことで、月間PVは1か月間に閲覧されたPVの合計数です。
「100万PV達成」のように指標として使われるPVは主に月間PV数のことを指します。
PVはウェブサイトの目標設定のベースとなる数値のため、重要視される指標の1つです。
セッション
セッションとは、ユーザーのウェブサイトの訪問数です。
PVがページを閲覧するたびに加算されるのに対して、セッションはサイト訪問から離脱するまでを1セッションとカウントします。
月間訪問ユーザー(ユニークユーザー)
月間訪問ユーザーは1か月間に訪問したユニークユーザー数のことです。
ユニークユーザーとは、特定の期間内にウェブサイトを訪問したユーザー数のことで、同じユーザーが期間内に再訪問してもユーザー数は増えません。
ユーザー数=見込み客数とも言えるため、広告やメルマガなどのマーケティング施策を実施する際にユーザー数は重要な指標となります。
新規ユーザー
新規ユーザーとは、過去2年以内にウェブサイトを訪問したことがなく、設定した期間中に初めて訪問したユーザーのことです。
注意点として、同じユーザーでもアクセスしたデバイスやブラウザが異なると、新規ユーザーとしてカウントされます。
PV月間推移
PVの月別推移グラフです。
昨対比や年間を通した成長率を見るために利用します。
コンバージョン
コンバージョンとは、ウェブサイトの目標設定としている成果につながるアクションを指します。
例えばECサイトの場合、「商品の購入」がコンバージョンとなります。
転職サイトの場合は「会員登録」となり、特定サイトへの送客を目的としている場合は「バナークリック数」をコンバージョンとして計測することもあるでしょう。
ウェブサイトの商品やサービスによってコンバージョンの定義は変わりますが、アクセス解析レポートにおいてコンバージョンは最も重要な指標のひとつです。
ユーザーサマリ
ウェブサイトを訪問したユーザーの情報をまとめた内容です。
PV日別推移
PVを日付ごとにグラフ化したものです。
特定の曜日や週末にアクセスが伸びやすいなど、アクセス状況を確認することが可能です。
流入経路
流入経路とは、ウェブサイトを訪れたユーザーのアクセス元です。
主に以下のような区分で表示されます。
- Organic Search:自然検索経由(Google / Yahoo など)
- Paid Search:広告経由(リスティング広告 / 検索連動型広告)
- Referral:別サイトの被リンク経由
- Social:SNS経由
- (direct/none):ノーリファラー(参照元なし)
特殊な例として、流入経路のアクセス元が特定できなかった場合に(direct/none)と表示されますが、主なパターンは以下の通りです。
- URLの直接入力
- ブックマークからのアクセス
- チャットツールからのアクセス
- アプリからのアクセス
- メールのリンクからのアクセス
ブログ記事などのコンテンツ発信に力を入れている場合は、SEO上位表示されることで「Organic Search」経由のユーザー比率が高くなります。
ウェブサイトの種類によって最適とされる比率は異なりますが、一般的には広告経由を除いた「Organic Search」経由のユーザー比率が50~70%程度あるのが望ましいでしょう。
新規 / リピーター
過去2年以内にウェブサイトを訪問したことがなく、設定した期間中に初めて訪問したユーザーは新規、それ以外はリピーターとして計測されます。
年齢
サイトに訪れたユーザーの年齢層です。
年齢層がウェブサイトのターゲットと合致しているかを確認できます。
性別
サイトに訪れたユーザーの性別です。
例えば女性向けの商品を扱っている場合、想定ユーザーと訪問ユーザーの性別に大きな乖離がないかを確認できます。
年齢や性別といったユーザー情報は、ターゲットを絞ってセグメント配信を行う広告やメルマガの効果測定を行う際には重要なデータとなります。
地域
サイトに訪れたユーザーの地域です。
リアル店舗ビジネスを行っている場合、ローカルユーザーにウェブサイトを探してもらいやすいように「地域名+サービス名」などのコンテンツを作成することで、ある程度改善できます。
デバイス
サイトに訪れたユーザーのデバイス情報です。
ウェブサイトの種類やターゲットによっては、PCユーザーとスマートフォンユーザーのデバイス比率が逆転するケースがあります。
デバイス比率によって優先すべき内容が変わります。
検索パフォーマンスサマリ
サーチコンソールの検索パフォーマンスで集計された指標をまとめたものです。
ここでは「表示回数」「クリック数」「クリック率」 「平均順位」の4つの指標を見ることができます。
表示回数(インプレッション)
ユーザーが検索を行った際に検索結果に表示された回数です。
クリック数
検索結果に表示された内容をユーザーがクリックした回数です。
クリック率(CTR)
クリック率(CTR)とは、表示回数のうち、ユーザーがクリックした回数の割合を%で表したもので、計算式は以下の通りです。
クリック数/表示回数 * 100 =クリック率(%)
例えば、表示回数「100回」でクリック数が「2回」の場合は以下の通りです。
2 / 100 * 100 = 2(%)
統計データ上では、SEO1位の場合で10~20%、2位で7.5%、表示順位が下がるにつれて段階的に下がり、10位では1~2%程度となり、表示順が2ページ目以下になった場合は1%を切ると言われています。
クリック率の平均値はウェブサイトの種類やターゲット、さらには統計データや時期要因によって変動するため、参考程度に見ておくとよいでしょう。
また競合性の高いキーワードの場合、リスティング広告が最上部に表示される影響もあり、CTRは上記平均値よりもやや低くなる傾向にあります。
もう1点、レポート内でよく目にする指名検索のCTRについてもふれておきます。
自社ブランド名やサービス名などの固有名詞のキーワードで検索されることを「指名検索」と言いますが、この指名検索で1位表示された場合、40%~60%程度のCTRが見込めると言われています。
平均順位
検索結果に表示された全ページの平均順位です。
極端な例ですが、全2Pで構成されたウェブサイトにおいて、一方の検索結果の表示順が1位でもう片方が10位の場合、全体の平均順位は5位となります。
注意点としては、検索結果に表示されたページのみが対象となる点です。
そのため、一方の検索結果の表示順が1位でもう片方が検索ランク外(一度も検索結果に表示されなかった)の場合、表示順が確定したページのみでの全体平均となるため、平均順位は1位となります。
ページ数が少ない場合やSEO評価が低いページが多い場合は、数値のブレ幅が大きくなりやすいため、注意が必要です。
また検索結果の平均順位に大きな変動があった場合、ペナルティやGoogle検索アルゴリズムが変更された可能性があります。
平均順位をモニタリングする際は大きな順位変動に気を付けましょう。
検索結果表示回数とクリック数の推移
検索パフォーマンスの推移をモニタリングすることで、SEO評価やアルゴリズムに大きな変動がないかを確認します。 定期的なコンテンツ発信や適切なSEO対策を行っている場合、時期によって多少の変動はありつつも、緩やかに右肩上がりとなるグラフが理想的です。
検索ワード解析(表示回数&クリック数)
特定キーワードごとの検索パフォーマンスが確認できます。
表示回数が多いにもかかわらずクリック数が少ない場合、つまりCTR(クリック率)が低い場合は、本来流入が見込まれるユーザーを逃しており、機会損失を生んでいることがわかります。
この場合、タイトルやディスクリプションを改善することでCTRが改善するか検証するとよいでしょう。例外として、サイト内の画像が検索対象となった場合、表示回数が多いにもかかわらずクリック数が極端に少なくなることがあります。
データを見る際はこの点について留意しておくとよいでしょう。
検索クエリ
検索クエリとは、検索エンジンでユーザーが検索を行った語句のことです。
「ウェブ制作会社」「東京 ウェブ制作会社」のように、単体キーワードや複数キーワードの掛け合わせなど、検索を実行した語句のまとまりを検索クエリと呼びます。
検索クエリはユーザーニーズをそのまま表しており、平均順位が高いにもかかわらずCTRが低いクエリがある場合は改善対象と見ることができます。
改善対象の検索クエリに呼応するページにおいて、タイトルとディスクリプションを工夫して、CTRが改善されたかどうかをモニタリングするとよいでしょう。
Googleデータポータルで作成したレポートの便利な機能
Googleデータポータルでは作成したレポートをPDFファイルで提供する以外に、オンラインで共有することが可能です。
ダッシュボード(レポート)を共有した場合、自由度の高い操作でより詳細なデータを見ることができます。
以下ダッシュボード上で利用できる主な機能です。
- 期間設定
- グラフのクロスフィルタリング
- グラフからデータをエクスポート
- データのドリルダウンする
- 指標スライダー
- オプションの指標
各機能の使い方については別の機会にご紹介します。
まとめ
本記事ではGoogleデータポータルで作成したアクセス解析レポートの見方と用語について解説しました。
ウェブサイトには目的とゴールがあり、達成すべき目標があります。
アクセス解析レポートによってウェブサイトの各種指標を可視化することで、仮説立案から実行・検証までのプロセスを効率的に進めることができます。
わずかな改善が大きなインパクトを生むこともあります。
レポートの見方や用語を正しく理解することで、データを読み解く「目」を鍛え、より効果的な改善につなげていきましょう。
弊社では豊富な運用実績とデータ分析に基づくサイト診断や運用サポートに関する無料相談を承っています。オンライン相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。
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