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コーヒーは幅広い層に親しまれており、特に近年、自宅での消費が大幅に増加しています。
デロンギ・ジャパンが実施した「コーヒーの飲用調査 2024年度版」によると、約4人に3人が自宅で1日1杯以上のコーヒーを飲んでいることがわかりました。また、ネットショッピングが日常的に利用されるようになりコーヒー豆のネット販売への需要も着実に高まっています。
コーヒースタンドやカフェの経営者にとって、この分野への参入はビジネス拡大のチャンスとなるでしょう。
この記事では、コーヒー豆をネットで販売することのメリットや、効果的な販売方法を詳しく解説します。
コーヒー豆をネット販売するメリット
幅広い顧客層へのアプローチが可能
コーヒーは幅広い層に親しまれ、近年では自宅でのコーヒー豆の消費も増えています。ネット販売を活用すれば、こうしたニーズに応えつつ、多くの潜在顧客にアプローチできるチャンスが広がります。
特に自家焙煎やスペシャルティコーヒーを求める層は、地域を問わず一定の需要があります。明確なコンセプトとターゲット設定、そして効果的なブランディングにより、認知度向上と売上拡大が期待できます。
在庫管理の効率化とロス削減
ネット販売は在庫管理の効率化とロス削減に効果的です。店舗販売ではコーヒー豆の賞味期限が短いため(未開封で約90日・開封後約2週間)、売れ残りや廃棄のリスクがありますが、オンラインでは需要予測がしやすく、リアルタイムで在庫管理が可能です。
取り置き予約や定期購入(サブスクリプション)を活用することで、顧客の購入履歴に基づいて適切な量を仕入れ、余剰在庫を減らせます。さらに、販売データを元に人気商品の需要を予測し、効率的な在庫調整が可能です。
ネット販売により、ロス削減・コスト削減・利益率向上が実現でき、持続可能なビジネスモデルの構築に寄与します。
多様な販売方法による顧客満足度アップ
ネット販売の大きなメリットは、多様な販売方法により顧客のニーズに柔軟に対応できることです。
たとえば、顧客が自分のペースで選べる「定期購入」や、特定の商品を一定の期間ごとに届ける「サブスクリプション」は、手間を省くと同時に、安定した売上を確保する方法として人気です。
また、商品の取り置き予約をオンラインで受け付けることで、顧客は確実に商品を手に入れることができ、より多くのリピーターを生むことができます。
さらに、ギフト用に「eギフト」や「ギフトカード」を提供することで、ギフト需要にも対応し、顧客層の幅を広げることができます。
様々な販売方法の組み合わせにより、顧客一人ひとりのライフスタイルに応じたサービス提供が可能になり、満足度向上につながります。
ネット販売の始め方5つのステップ
STEP1:コンセプトとターゲットを決める
ネット販売を始める際は、まずブランドのコンセプトとターゲット市場を明確にしましょう。どのようなコーヒー豆を提供し、どんな価値観を伝えるブランドにしたいのかを言語化することで、販売戦略に一貫性が生まれます。
小規模店では、ニッチ市場を狙うことで独自性を打ち出しやすくなります。加えて、販売価格の設定も重要です。
自家焙煎コーヒー豆の相場(100gあたり1,000〜3,000円)を参考に、品質・コスト・顧客の期待に合う価格を検討しましょう。
STEP2:商品の選定と準備
ターゲットが定まったら、どんな豆を取り扱うかを選定します。
自家焙煎するのか、焙煎業者から仕入れるのかを決めましょう。
- 自家焙煎の場合:技術・設備投資が必要だが、品質や味のコントロールがしやすい
- 仕入れ販売の場合:信頼できる焙煎業者を見つけることが鍵。品質管理体制、安定供給、コストのバランスを見極めましょう。
STEP3:ブランディング
価格や品質に加え、消費者はブランドの「価値観」や「ストーリー」にも惹かれます。
自社ならではの強み(例:サステナブルな農園との連携、希少品種の焙煎技術)を明確にし、ブランドストーリーとして伝えましょう。
例:「100年続く農園とともに作る特別な一杯」
また、デザイン(ロゴやパッケージ)もストーリーと統一感を持たせることが重要です。世界観のあるブランドは、価格競争に巻き込まれにくくなります。
STEP4:ネット販売の方法を決める
販売方法は主に2つです。
- ECモール(Amazon、楽天など)
→ 集客しやすいが、手数料が高くブランディングが難しい - 自社ECサイト(Shopify、STORESなど)
→ 世界観を表現しやすく、顧客データも得られるが立ち上げの手間がある
ブランディング重視で長期的に育てたいなら、自社ECがおすすめです。
限られたリソースでも、専門業者に依頼することで効率よく高品質なサイトを構築できます。
サイト構築時は、「高級感」「親しみやすさ」「清潔感」など、ブランドコンセプトに合ったデザインを意識しましょう。
STEP5:集客とプロモーション
以下の手段を組み合わせ、段階的に集客力を高めましょう。
- Instagram:視覚的にブランドの魅力を伝える最適なツール。ショップ機能やストーリーズ、リンク誘導を活用。
- Googleビジネスプロフィール:地元客+検索流入に効果的。写真・投稿・最新情報で露出を増やす。
- チラシ配布:近隣顧客に対して有効。クーポンやQRコードを活用し、自社ECへ誘導しましょう。
コーヒー豆のオススメ販売方法
ネット通販
全国の顧客にアプローチし、売上を拡大
ネット通販は、全国の顧客にアプローチできる販売方法です。特に自家焙煎やスペシャルティコーヒーは、他では手に入りにくい希少性や独自性から、遠方からでも需要も高く、ブランドの認知拡大に大きく貢献します。
メリット
- 広い顧客層へのアプローチ:近隣以外の顧客にもアプローチでき、販路を拡大。
- 24時間営業:オンラインでいつでも購入可能なため、時間の制約なく販売が可能。
- 販売データの活用:顧客の購買データを分析し、需要予測やマーケティング戦略の強化が可能。
ネット通販は、顧客層を広げるとともに、売上を安定化させる強力な手段となります。
取り置き予約
顧客満足度と販売効率をアップ
取り置き予約により、顧客は確実に商品を入手でき、売上機会の損失も防げます。人気商品や限定品で特に効果的です。
メリット
- 顧客満足度向上:在庫切れを防ぎ、信頼感をアップ。
- 売上安定化:事前予約で購入を確定させ、キャンセルリスクを軽減。
- 在庫管理効率化:需要を予測しやすくなり、無駄な在庫を減少。
取り置き予約は、顧客ニーズに応えると同時に、店舗運営の効率化にも寄与する効果的な手法です。
サブスク
安定した収益と顧客ロイヤルティを実現
サブスクリプションは、定期的に商品を届ける販売モデルで、安定した売上を確保すると同時に顧客との長期的な関係を築くのに最適な方法です。
メリット
- 売上の安定化:定期購入により、毎月の収益を予測しやすくなります。
- 顧客の利便性向上:手間なく商品が届くため、忙しい顧客に好評。
- リピーターの増加:顧客が商品を継続的に利用することで、ブランドへの信頼感が高まります。
サブスクは、店舗側と顧客双方にメリットのある仕組みです。日常的にコーヒーを楽しむ人に向けた提案として、導入を検討してみましょう。
eギフト
新しい顧客層を開拓し、販売の幅を広げる
eギフトはオンラインで購入し、贈り物として送ることができるサービスです。特にコーヒー好きへのプレゼントとして人気があり、顧客層の拡大や売上アップにつながります。
メリット
- 手軽に贈れる利便性:購入者がオンラインで完結し、受け取る側も簡単に利用可能。
- ギフト需要の獲得:誕生日や記念日、季節の贈り物としての需要を取り込めます。
- ブランドの認知拡大:ギフトを通じて新しい顧客との接点を増やせます。
eギフトは、日常の贈り物から特別な場面まで幅広く活用され、顧客満足度を高める効果的な販売方法です。特にオンラインショップとの相性が良く、導入することで新たなビジネスチャンスを生み出せます。
卸売り
販路を拡大し、安定した売上を確保
卸売りは、店舗や企業に商品をまとめて販売する方法で、規模の大きな取引が可能になり、安定した収益を得られるのが魅力です。特にカフェやレストランなど、コーヒーを日常的に提供する業者との取引は有効です。
メリット
- 大量販売による売上増:まとめて販売するため、効率よく収益を上げられます。
- 販路の拡大:小売店や飲食店など新たな顧客層にアプローチ可能。
- 長期的な安定収入:継続的な取引契約により、安定した売上を確保。
卸売りは、大口顧客との関係を築くことで安定収益を実現し、ブランドの信頼性を高めることができます。効率的な取引条件と高品質な商品で、継続的なパートナーシップを目指しましょう。
必要な資格と届出
コーヒー豆販売のみ
食品衛生責任者
食品を扱う営業を始めるには、食品衛生責任者の資格が必要です。 食品衛生責任者の資格は、各自治体の食品衛生協会が主催している講習会(6時間程度、eラーニング方式もあり)を受講し、修了試験に合格することで取得ができます。地域によっては講習会の開催頻度が少ない場合があるため事業開始のスケジュールに合わせて早めに受講計画を立てましょう。
- 申込:各自治体や食品衛生協会などの公式Webサイトや窓口
- 料金:10,000円程度
- 有効期限:なし(但し修了証を紛失したら、再発行の手続きが必要)
営業届け
以下のいずれかの方法で管轄の保健所へ営業届を提出します。
- 直接提出:管轄の保健所に書類を持参して提出
- オンライン申請:「食品衛生等申請システム(事業者向け)」を利用して電子申請
※いずれも手数料は無料
食品表示
ネット販売のみ
コーヒー豆のネット販売など、不特定多数への販売において必要な食品表示の例は以下の通りです。(対面販売の場合、原則として食品表示の義務はありません。)
- 名称
- 保存方法
- 消費期限または賞味期限
- 原産国名(輸入豆の場合)
- 原材料名
- 添加物(コーヒー豆には一般的に添加物は含まれないことが多いため、記載が必要ない場合もあります)
- 内容量
- 栄養成分表示(任意)
- 食品関連事業者の住所・名称
- 製造所または加工所の名称・住所(製造者が異なる場合)
まとめ
今回は、コーヒー豆のネット販売についてメリットから具体的な始め方まで解説しました。
ネット販売の方法は複数ありますが、長期的な事業成長を考える場合は自社ECサイトの構築がおすすめです。初期費用はかかりますが、ブランドの世界観を自由に表現でき顧客との直接的な関係構築が可能になります。
コーヒースタンドにとってネット販売は単なる「追加の販路」ではなく、ビジネスの柱となるポテンシャルを秘めています。まずは小さく始めて段階的に仕組みを整え、コーヒー豆のネット販売でビジネスの新たな可能性を探ってみてください。
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