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補助金は、新しい挑戦や変革をサポートする国や地方公共団体から交付される支援金です。コロナ禍ではさまざまな補助金や助成金が注目され、利用率はコロナ以前からわずか3年で約10倍にまで増えました。
今回はECサイト構築や各種クラウドサービスの導入など、幅広い用途に活用できる「IT導入補助金」について、申請方法やスケジュールなどを交えて詳しくご紹介します。
IT導入補助金を効果的に活用して、自社の課題解決や新たな挑戦に役立てましょう!
IT導入補助金2024に関する最新情報は下記の記事をご覧ください。(随時更新中)
目次
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、2017年に経済産業省中小企業庁が開始した中小企業や小規模事業者を対象とした補助金です。
最大450万円(デジタル化基盤導入枠では最大350万円)の補助金を受けることができ、ITの積極的な導入による課題解決や業務の効率化、拡大をサポートしています。
補助の対象になるのは、登録済みのITツールやクラウド利用費、ハードウェア購入費、IT導入支援事業者によるコンサル料なども含まれます。
IT導入補助金の対象となる事業者は?
対象となる事業者は、中小企業、個人事業主、フリーランスなどの小規模事業者です。対象事業者の規模は、資本金や従業員数で定められているため確認が必要です。要件を満たせば、以下でご紹介する補助金枠全てが対象となります。
IT導入補助金2023の種類別 概要
IT導入補助金は2017年から始まり、毎年内容が改定されています。以下、2023年度に導入された5つの枠(型)の概要をご紹介します。
通常枠(A・B類型)
課題やニーズに合ったITツールの導入費の一部を補助することで、業務効率化や売上アップといった経営力の向上強化を図ることを目的としています。
通常枠には、A類型とB類型があり、補助金の交付額はソフトウェアの導入数によりことなります。A類型は最大150万円ですが、B類型は最大450万円まで交付されます。A類型ではソフトウェアを1つ以上、B類型では4つ以上導入したときに申請することができます。
セキュリティ対策推進枠
サイバー攻撃による事業継続の困難や生産性の低下といったリスクを回避することを目的としています。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているセキュリティサービス導入費の一部を支援する枠です。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
会計、受発注、決済、ECソフトに加えて、PC、タブレット、レジ、券売機などのハードウェア導入費の一部を補助することでデジタル化の推進を目的としています。
2023年度は、補助下限額をなくし、手ごろな価格のITツールの導入も支援対象になりました。また、ECサイトの構築もデジタル化基盤導入枠になります。補助対象は、コンサルティングから導入、構築、運用、サポートまで幅広く含まれます。
補助額の内訳は下の表の通りです。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) | ||||
補助額 | ITツール (下限なし)~350 万円 | PC、タブレット等 ~10万円 | レジ、券売機 ~20万円 | |
内、~50万円部分 | 内、50万円超~350万円部分 | |||
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 | 1/2以内 | |
機能要件 | 会計、受発注、決済、ECのうち1機能以上 | 会計、受発注、決済、ECのうち2機能以上 | 左記ITツールの使用に資するもの | |
対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、ハードウェア関連費、導入関連費 |
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
複数の中小、小規模事業者が連携して、地域DXの実現や生産性向上を目指す取り組みの支援を目的としています。その際、複数の企業に対してITツールを導入し、効果的に連携するためのコーディネートや、外部専門家への委託にかかる費用も含め、支援対象となります。
ただし、通常枠(A・B類型)や、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)とは、異なる点があるので注意が必要です。
デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)
取引関係における発注者が負担するITツールの費用の一部(インボイス制度に対応した受発注機能を持つもの)を補助します。具体的には、クラウド利用費(最大2年分)が補助対象となります。
IT導入補助金2023の申請スケジュール
2023年度の交付申請期間は以下の表の通りとなっています。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
下記はECサイト構築や各種クラウドサービスの導入で利用できる「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」の申請スケジュールです。
10次締切分 | 締切日 | |
---|---|---|
交付決定日 | ||
事業実施期間 | ||
事業実績報告期限 | ||
11次締切分 | 締切日 | |
交付決定日 | ||
事業実施期間 | ||
事業実績報告期限 | ||
12次締切分 | 締切日 | |
交付決定日 | ||
事業実施期間 | ||
事業実績報告期限 | ||
13次締切分 | 締切日 | |
交付決定日 | ||
事業実施期間 | ||
事業実績報告期限 | ||
14次締切分 | 締切日 | |
交付決定日 | ||
事業実施期間 | ||
事業実績報告期限 | ||
15次締切分 | 締切日 | |
交付決定日 | ||
事業実施期間 | ||
事業実績報告期限 | ||
16次締切分 | 締切日 | |
交付決定日 | ||
事業実施期間 | ||
事業実績報告期限 | ||
17次締切分 (最終回) | 締切日 | |
交付決定日 | ||
事業実施期間 | ||
事業実績報告期限 |
締切や提出期限を超えた場合は、いかなる理由であっても受付されませんので、余裕をもった申請、提出を心がけましょう。
IT導入補助金の申請に必要な書類
IT導入補助金の申請はオンラインでおこなわれますが、いくつかの書類添付が必要になります。以下、法人、個人事業主ごとにご紹介します。
法人の場合
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書(その1またはその2)
個人事業主の場合
- 本人確認書類(運転免許証、運転経歴証明書、住民票のうちいずれか1つ)
- 所得税の納税証明書(その1またはその2)
- 確定申告書Bの控え(税務署が受領したことがわかる直近分)
履歴事項全部証明書や住民票は発行から3か月以内の書類が必要となります。
必要書類に不備がある場合、申請が受理されないことがありますので注意が必要です。
IT導入補助金の申請方法・流れ
申請に必要な手続きは補助金を申請する事業者とITベンダー・サービス事業者で異なります。
事業者側での交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウントが必要となります。アカウントID発行まで約2週間を有するほか、「SECURITY ACTION」宣言や「みらデジ経営チェック」など、申請要件を満たすためには必須要件となっているため、申請の流れを把握して計画的に進めましょう。
下記に申請方法・流れについてまとめています。
STEP1:IT導入補助金2023への理解
まずは交付申請の手引きや、IT導入補助金2023を理解し、準備をすすめてください。
STEP2:gBizIDプライムアカウントの取得、SECURITY ACTIONの実施
gBizIDプライムアカウントの取得して、SECURITY ACTIONを実施します。
交付申請前に必ず行う必要があります。
gBizIDプライムアカウントの取得
交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウント(ID、パスワードなど)が必要となります。取得がまだの場合は「gBizID」ホームページより取得します。
※gBizIDプライムアカウントのID発行には約2週間かかります。まずは、アカウントの取得から始めましょう。
SECURITY ACTION
この宣言は、中小企業、小規模事業者がみずから情報セキュリティ対策に取組むことを宣言する制度で、「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言する事を要件としています。
※交付申請作成時には宣言済みアカウントIDの入力が必要となります。宣言方法の詳細は、「SECURITY ACTION新規申込み手順書」をご覧ください。
STEP3:みらデジ経営チェックの実施
「みらデジ」ポータルサイト内にgBizIDで登録し、「経営チェック」の実施が必要です。「みらデジ」は、中小企業庁が実施する中小企業、小規模事業者等の経営課題をデジタル化により解決することをサポートする制度です。
宣言方法の詳細は、「みらデジポータルサイト」をご覧ください。
STEP4:「IT導入支援事業者の選定」と「ITツールの選択」
補助金の交付申請を行う準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。
IT導入支援事業者とは、事業者のITツールの提案・導入および事業計画の策定の支援など、各種申請等の手続きのサポートを行うベンダーを指します。一般的にはITツールを提供している事業者や制作会社などが該当します。
IT導入支援事業者は、事務局に登録済の事業者である必要があります。
STEP5:交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)
IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。
その後、中小企業、小規模事業者等の交付申請は以下の流れで行われます。
- IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受ける
- 交付申請に必要となる情報を入力、書類を添付
- IT導入支援事業者は、導入するITツール情報、事業計画を入力
- 申請マイページ上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出
STEP6:ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)
交付申請を完了し、事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注、契約、支払いなどを行います。
※交付決定の連絡前に発注、契約、支払いをすると、補助金の交付を受けることができませんので注意が必要です。
STEP7:事業実績報告
補助事業の完了後に実際にITツールの発注、契約、納品、支払いなどがわかる証憑を提出します。
- 補助事業者が申請マイページから事業実績報告を作成
- IT導入支援事業者が内容の確認及び必要情報を入力
- 補助事業者が事務局に事業実績報告を提出
STEP8:補助金交付手続き
事業実績報告が完了して補助金額が確定すると、申請マイページで補助額を確認できるようになります。内容を確認後、補助金が交付されます。
STEP9:事業実施効果報告
事業実施効果報告は、決められた期日内に補助事業者が申請マイページより必要な情報を入力し、IT導入支援事業者への確認をへて、提出します。
まとめ
IT導入補助金2023では、通常枠の下限額が30万円から5万円に引き下げられ、デジタル化基盤導入類型の下限額は撤廃されました。これにより、手頃な価格のITツールも対象となり、より幅広く補助制度を活用できるようになりました。
また、デジタル化基盤導入枠ではECサイト構築が補助対象となり、最大350万円まで補助されます。これからECサイトの立ち上げを予定している場合は、必ず活用したい補助金となっています。
要件や募集期間をしっかり確認して、ぜひ活用を検討してみてください。
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