この記事は約 5 分で読めます。
長距離を歩くために徹底的な装備の軽量化を行う「ウルトラライトハイキング」。そのカルチャーを日本に広めたアウトドアギア専門店「ハイカーズデポ」のWebサイトリニューアルとshopify導入による店舗DXを担当いたしました。
本記事ではデザインリニューアルにフォーカスした内容をお伝えいたします。
課題とご提案
ハイカーズデポ様は2008年のオープン以来、ECをやっていませんでした。
同店が扱う登山・ハイキング道具は専門家のアドバイスが必要なものが多いため店頭での接客を大切にしていたのです。来店が難しい遠方のお客様とはメールでコミュニケーションを取り、銀行振込対応で販売をする通販のような方法を採用していました。
このような時代と逆行するようなアナログな運営にもかかわらず、「ウルトラライト(超軽量装備)」という独自性のあるコンセプトと品揃えでオープン以降右肩上がりの成長を続けていました。
そんな中、2020年4月に状況が一転します。
新型コロナウイルス対策として「緊急事態宣言」が発出され、お客様が来店できなくなったのです。この影響で経営難に陥った店舗も多く、ハイカーズデポ様も例外ではありませんでした。コロナ禍の長期化が予想される中、これまでのように実店舗販売に比重を置く経営スタイルはリスクがあると判断してオンライン販売に取り組むことになりました。また、販売チャネルが増えるということは当然スタッフに大きな負担が掛かります。
そこで、ECサイト立ち上げと合わせて「生産性向上」「業務効率化」を課題としてサポートさせていただくことになりました。
リニューアル後の理想の形をイメージ
最初に取り組んだのは、スタッフの方々にWebについて正しく理解してもらうことでした。
なぜリニューアルが必要なのか、どんなメリット、またはデメリットがあるのか、公開後のオペレーションの課題など、丁寧に説明することから始めました。さらに現行サイトのデータ分析を行い現在地を示し、他社の成功事例を交えながら目標を設定し、リニューアル後の理想の形をイメージしていただきました。
「生産性向上」「業務効率化」といった課題に対しては、ロジックツリーを用いて、約50案の具体的な施策へ分解しました。それらを限られたリソースの中で、心理的な抵抗の度合い、投資対効果、実現性の高いものを取捨選択し、急がず時間をかけて実施していくこととしました。
自然と「売れる」仕組みづくり目指して
ハイカーズデポ様はすでに人気店であり、これまでのやり方で多くのファンがついていました。
ですので割引やクーポンのような安易な販促手法は、堅実な接客と専門性で築いたブランドイメージを毀損してしまう恐れがあります。
集客ができている同店にとって短期的に売上を上げることはそれほど難しくありません。お客様の購買意欲をかき立てる販売手法を使えばすぐに数字は上がるでしょう。ですがそういった手法に安易に飛びつくとブランドイメージを毀損しかねません。
「ハイカーズデポは変わったね」と言われないためにはやってはいけないかことは何か。改めて「ハイカーズデポらしさ」について深く掘り下げるなかで、以下の指針を導き出しました。
- 商品を売ろうとするのではなく、その商品の良さを伝えることに注力する。
- ハイキングの良さ、文化を伝え、日本のハイキング人口を増やす。
- 専門家として信頼性の高い情報発信を行う。
- その結果としてお客様が安心して商品を買えるショップを目指す。
このように短期的な収益回復を狙いながらも専門店としての矜持を損なわないよう、むやみに商品を売るのではなく、自然と「売れる」仕組みづくりを目指すことになりました。
UIUXデザインと導線設計
リニューアル前のWebサイトはハイカーズデポらしさを的確に表現されていました。
トップページにはお店のコンセプトが掲載され、お店のことを知ってもらいたい、伝えたい、といったお店側の意図が感じられる構成になっていました。ですが、ECサイトの場合、ユーザーが求めているのは「商品情報」です。ユーザーの期待に応え、売上に繋げるためにはより多くの商品を見てもらう必要があります。
そのためにはトップページから商品情報への導線が必要です。
さらに言えば、新規性のあるデザインよりも新規ユーザーも迷わない「見慣れた」デザインの方が適しています。ファーストビューにはスライド画像と最新のおすすめ商品を配置し、カテゴリーやブランドから最短で商品へ辿り着けるナビゲーションを設置するなど、かっこよさよりも使いやすさ、いわゆる「普通のデザイン」にこだわりました。
さらに、サイトを訪れたユーザーに1ページでも多くの商品を見てもらえるよう回遊性を高めました。
主な施策は以下の通りです。
- 商品とコンテンツの適切なカテゴリ分け
- 各ページへダイレクトにアクセスできるナビゲーションの設置
- コンテンツ内での関連リンクの提示
- ブログカード機能の実装
- サイトの軽量化
このようにお客様に自然に商品ページへ誘導できる施策だけを行いました。
SNS活用のご提案
ユーザーとのタッチポイントを増やし、サイトへの流入を増やすために、Instagramの運用も開始していただきました。
SNSの中でInstagramから流入したユーザーは転換率が高い傾向にあります。特にアウトドア用品のような趣味的要素が強い商品との相性は抜群です。なぜならInstagramには趣味でつながるコミュニティが数多く存在し、メンバーは商品やイベントの最新情報の収集にInstagramを利用しているからです。実際に計測したデータでは、検索や他のSNSからの流入に比べて2倍以上の転換率となっております。
また、ハイカーズデポ様は、アウトドア業界では認知されており、コアなファンが存在するため、短期間のうちにフォロワーを獲得できる目算がありました。
予想通り、1万人に到達するまでに1年もかかりませんでした。その後も無理をしないマイペースな運用にも関わらず、開設から3年後の2023年1月時点でフォロワー数は1.9万になり、新規ファン獲得や売上向上に少なからず貢献しています。
データの可視化と分析
さらにデータの可視化も徹底しました。Googleアナリティクスとサーチコンソールから必要なデータのみをGoogleデータポータルに集約し分かりやすくシンプルなレポートを作成しています。
月に一度のミーティングではレポート結果の報告やデータに基づいた改善提案を行っています。
Webサイトリニューアルの効果
デザインを変えただけで公開後1ヶ月でPVは1.8倍に増加。
その後も前年比180%〜200%の成長を続け、数ヶ月後には店舗のお客様も戻り、一度沈んだ売上もコロナ以前の状態に回復しました。
このようにWebサイト・ECサイトの活用は店舗DXへの足掛かりとして最適です。
店舗DXに興味があるけど、何から始めればよいかわからない。DX化、売上アップと作業効率の改善をお考えの方の参考になりましたら幸いです。
Shopifyの導入についての詳細は下記よりご覧ください。
弊社では、補助金を活用したECサイト構築やホームページ制作の無料相談を承っております。お気軽にご相談ください。
無料で相談してみる