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「ホームページはあるけど、寄付やボランティアが集まらない…」
「団体のビジョンやメッセージをもっと多くの人に届けて、支援の輪を広げたい」
でも、どんなホームページにすれば良いのかわからない…

このような課題を抱えているNPO法人の担当者は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、優れた参考事例を解説し、必要なコンテンツや、効果的なホームページ作成のポイントについてご紹介します。

NPO法人ホームページの参考事例

ホームページは組織の目的や活動を広く伝えるための重要なプラットフォームです。より多くの人々に知ってもらうことを目指し、支援者や関心を持つ人々とのつながりを構築し、寄付の受付、ボランティアの募集などに活用されます。そして、これらの活動を通じて、ホームページは信頼性と透明性を築く上での重要な役割を果たします。

以下の参考事例は、見た目のデザインだけでなく、いかに顧客との接点を強化し、メッセージを効果的に伝達し、ファンを獲得しているかという基準に基づいて選定しました。

一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)

引用元:一般社団法人more trees

「一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)」は、2007年、坂本龍一の呼びかけで設立された森林保全団体です。「都市と森をつなぐ」をコンセプトに、地域協働の「more treesの森」展開、国産材商品の開発、森の魅力を伝えるイベントなど、多様な活動を展開しています。

参考にしたい点

  • クオリティの高いビジュアル要素:クオリティの高い写真やイラストといったビジュアル要素が団体の信頼感を高めている。
  • 著名人のメッセージ:音楽家の坂本龍一とその後を継いで代表を務める建築家の隈研吾といった著名人のメッセージは団体の権威性を高め、信頼獲得につながっています。
  • ユーザー中心の設計:寄付ページの入り口を法人と個人で分けることで、訪問者がアクションを起こしやすいよう配慮されています。
  • 持続可能な資金調達:独自性のある商品の開発や、ECサイトでの販売を通じて活動費を得ている点も、団体の持続可能性という点で素晴らしいと思います。

国際保健協力NGOシェア

引用元:国際保健協力NGOシェア

「シェア=国際保健協力市民の会」は、1983年に設立された日本発の国際協力NGOです。主にカンボジア、東ティモール、そして日本で国際保健支援を行い、政策提言や普及啓発活動にも取り組んでいます。

参考にしたい点

  • シンプルかつ明快なデザイン:全体を通して、ジャンプ率が高く大きめの文字と角丸を多用することで、インパクトと親しみやすさを演出しています。
  • 寄付への導線設計:全てのページに寄付セクションがあり、金額が決められた大きなボタンが配置されています。これにより、寄付者は金額を考える手間を省くことができ、寄付しやすくなります。さらに大きな赤いボタンは見つけやすく、結果として寄付の確率を高めていると思われます。
  • 直感的ナビゲーション:「知る」「学ぶ」「参加する」といったシンプルで直感的なグローバルナビゲーションはユーザーの行動を自然に誘導します。これらの言葉は具体的な行動を示唆するため、ユーザーは何をすべきか迷うことが少なくなります。
  • インフォグラフィック:団体紹介ページでは、活動の成果や現状の課題をアイコンと数字を使ったインフォグラフィックで視覚的に表現しています。これにより複雑な情報を分かりやすく、魅力的に伝えることができています。

認定NPO法人 難民支援協会

参照元:認定NPO法人 難民支援協会

日本に逃れてきた難民に対する支援を行っている認定NPO法人です。難民申請者への電話相談受付、難民申し出者への緊急避難的な措置、さらに難解な申請書類作成のフォロー、医療支援、定住するまでのフォロー、政策提言など、ありとあらゆる難民支援を行っている素晴らしい団体です。

参考にしたい点

  • 多言語対応:日本語がわからない難民に向けたページには英語とアラビア語が添えられており、日本語にはルビが振られている。多様な背景を持つ訪問者が情報を容易に理解できるようアクセシビリティに配慮されている点が素晴らしい。
  • 教育的な付加価値:日本語に振られたルビは、日本語を学んでいる難民にとって、新しい語彙の学習にも役立ちます。
  • 創造的な寄付戦略:「お宝エイド」という、家に眠っている不要なものを送ってもらい、それを換金して活動資金を作るというユニークな寄付方法を提案しています。これは、支援に様々な方法があるという良い例です。

NPO法人のホームページに必要なコンテンツ

NPO法人のホームページには、団体の基本情報から活動内容、寄付窓口やボランティアの募集にいたるまで様々なコンテンツが含まれます。 ここでは、主に必要なコンテンツについて詳しく説明していきます。

団体概要

団体概要では、団体設立の経緯や動機、目標、そして未来へのビジョンを明確に伝えます。
団体概要は、訪問者が信頼のおける団体かを判断する重要な判断材料となるため、正確な情報をわかりやすく伝えることが大切です。
団体概要の内容には、沿革や公益法人としての資格の有無、活動エリア、運営チームやリーダー等についても入れるといいでしょう。

ビジョン・メッセージ

ビジョンとメッセージでは、団体が叶えたい未来と社会的責任、その実現に向けた熱いメッセージを伝えます。
ビジョンとメッセージを明確に示すことで、団体に興味を持つ支援希望者は、自分が参画することでどう社会に貢献出来るのかをイメージしやすくなります。
このことにより、より多くの人が団体の取り組みに、積極的に参加、支援する可能性が広がります。

活動紹介

活動紹介では、団体が実施しているプロジェクトやイベントの情報を詳しく伝えます。
ここでは、団体がどのような問題に取り組んでいるのか、それがどのような人々や地域に届き、どのように貢献し、解決しているのかを具体的に紹介します。

活動内容は、出来るだけ豊富に紹介することで、団体の社会的影響力を示すことが出来ます。
また、写真や動画を活用することで、活動の様子や、解決すべき問題をより直感的に訴えることもできます。

活動レポート

活動レポートには、プロジェクトやイベントの具体的な成果や影響について詳細に記載します。
活動レポートを公開することで、団体が目標に対してどれだけ効果的に動いているか、またその取り組みが社会にどのように貢献しているかを明示し、団体の透明性を示すことも出来ます。

レポートには、目標達成度、具体的な成果の数値、参加者の声やフィードバック、そして活動を通じて得られた学びや今後の課題についても含めるといいでしょう。
また、作成した活動レポートは、他の団体や閲覧者にとっての学びにもなり、支援やネットワークの輪の広がりにも繋がります。

最新情報とお知らせ

最新情報とお知らせでは、団体からの最新情報やイベント開催のお知らせ、最近の活動の様子など、タイムリーな情報を載せます。

また、新しいプロジェクトの立ち上げや成果の共有、キャンペーンや募金活動の告知など、団体が取り組んでいる様々な活動を、広く伝える場にもなります。

定期的な情報更新と日々の活動の共有により、持続的な関心とホームページへのアクセス増加が期待出来ます。

寄付依頼

寄付依頼では、団体がどのような支援を必要としているのか、そして、その寄付が具体的にどのように役立つのかを詳細にわかりやすく伝えます。

寄付を求める際は、寄付金の用途が明確であることが大切です。ですので、具体的な用途や数字を示すことをおすすめします。
また、寄付の方法はわかりやすく簡単にし、出来るだけオンラインで寄付できるシステムを導入するといいでしょう。

それに加え、寄付の種類を例えば一回限りの寄付、定期寄付、特定プロジェクトへの寄付など、訪問者が自分に合った方法で支援できるように用意することも大切です。
また、寄付者が持つ不安や疑問を解消し、寄付プロセスをスムーズに進めることにも留意しましょう。
寄付による支援は、団体の持続的な活動の支えとなり、より多くの課題解決に繋がります。

会員募集

会員募集は、団体のビジョンに共感する支援者を集めるための大切なコンテンツです。
ここでは、団体と支援者とのつながりを深め、共に成長するコミュニティを築き上げます。
会員専用のニュースレターやイベントを用意することも、活動への関心を高め、団体との繋がりを深める良い方法です。

ボランティア募集

ボランティアはNPO法人の活動を支える大きな力となります。そのため、ここでは、ボランティアをすることの意義や、具体的な活動内容、参加することで得られる経験や学びなどを丁寧に紹介します。
具体的には、活動の目的や日時、場所、必要な準備、特定のスキルの有無などの詳細情報を記載します。

また、過去のボランティア活動の様子や、参加者の声を紹介することで、興味を持った訪問者が具体的に活動をイメージでき、参加しやすくなります。
ボランティア募集を通じて、団体の使命に共感し、自らの時間とスキルを提供してくれる人々と出会うことは、NPO法人にとって非常に価値のあることです。

よくある質問(FAQ)

よくある質問では、訪問者の疑問や不明点を効率的に解決することが大切です。
このページをわかりやすく充実させることで、訪問者自ら情報を見つけやすくなり、問い合わせ対応が軽減できます。
よくある質問の内容は、活動内容、寄付方法、ボランティア、会員登録のプロセスなど、幅広く用意しましょう。

よくある質問を作成するには、実際によく受ける質問をピックアップし、シンプルでわかりやすい解答にまとめるといいでしょう。また、内容が古くないか定期的にチェックしたり、訪問者が疑問を持つポイントを先読みし、それに対する答えを用意しておくことでより親切なコンテンツになります。

お問い合わせ

お問い合わせページは、訪問者が直接団体に連絡を取るための窓口となり、より具体的な質問や支援の申し出、ボランティアやイベント参加等の連絡を取ることができます。
お問い合わせフォームを設置することで、訪問者は手軽にメッセージを送ることができ、団体と訪問者のコミュニケーションを円滑にします。

お問い合わせページには、お問い合わせフォームだけでなく、メールアドレスや電話番号等も明記し、訪問者が問い合わせ方法を選べるとより親切です。
また、返信のタイミングについて目安を記載することで、訪問者の不安を軽減し、信頼関係の構築にも役立ちます。

NPO法人のホームページ作成5つのポイント

NPO法人のホームページを作成する際には、訪問者に関心を持ってもらうための重要なポイントがいくつかあります。ここでは、効果的なホームページ作成のための5つのポイントを紹介します。

信頼感を与えるデザイン

多くの場合、ホームページは団体に関心を持つ人々にとって最初の接点です。どんなに素晴らしいビジョンを掲げ、精力的に活動に取り組んでいても、それを伝えるホームページのデザインがいい加減なものだとしたら、信頼を得ることはできません。

信頼感を与えるデザインは、魅力的で一貫性があり、情報が整理されています。これにより、訪問者は簡単に必要な情報を見つけ、団体の使命、価値観、活動などを理解できるようになります。

NPO団体の目的達成において、信頼感のあるデザインは不可欠な要素なのです。

スマホで見やすい構成にする

情報収集の手段として、多くの人がスマホを使う現在、ホームページをスマホでも見やすく構成することはとても重要です。
どんな画面サイズにもフィットする「レスポンシブデザイン」を採用することで、読みやすいテキストサイズ、タップしやすいボタン、直感的なナビゲーションを実現させることが出来ます。

そうすることで、誰もがいつでも、どこからでも、ストレスなく情報を得られるホームページが完成します。
より多くの人に団体のビジョンやメッセージを届け、支援に繋げるためにも、スマホをはじめ、あらゆる閲覧環境に最適化することは必須と言えるでしょう。

定期的な情報発信を行う

ホームページを定期的に更新し、活動の進捗やイベント案内、関連する最新ニュースなど、役立つ情報を継続的に提供すると、訪問者にとってホームページが有益な情報源となり、再訪問につながります。
また、常にコンテンツの鮮度を保つことで、団体の活発な様子が伝わり、継続的な関心や支援に繋がることも期待できます。

寄付への導線を目立たせる

寄付は団体の活動を支える基盤となります。そのため、ホームページ上で、訪問者が迷わずに寄付出来るよう、寄付への導線を目立たせることはとても重要です。

「寄付依頼」の項でも述べたように、寄付の方法は出来るだけシンプルでわかりやすく、訪問者が自分に合った寄付の方法を選択出来るといいでしょう。

また、具体的な用途や成果を示すことで、訪問者は自分の貢献が価値ある変化を生むとイメージしやすくなります。

このように、寄付の内容を明確にし、簡単に寄付できる導線を整えることで、寄付の増加が見込めます。

魅力的なコンテンツ作り

ホームページのコンテンツとして、教育的な記事やインタビュー、またフォトコンテストのようにユーザー参加型のコンテンツは、訪問者の関心を引き、より深く関わるきっかけになります。
これらのコンテンツは、団体の活動や目的を理解しやすくするだけでなく、訪問者に団体のビジョンやメッセージを強く印象づける効果もあります。

また、写真や動画、インフォグラフィック等のビジュアルコンテンツは、テキストだけでは伝わりにくい情報を分かりやすく、魅力的に伝えることができます。
特に、活動の様子を映した写真や動画は、訪問者に強い印象を与え、活動への理解を深め共感を得るのに役立ちます。

ホームページで、魅力的かつ価値のあるコンテンツを提供することにより、団体への信頼が深まり、長期的な関係の構築へとつながります。
そのため、訪問者が団体の活動に積極的に参加したくなるようなコンテンツ作りを心がけるといいでしょう。

まとめ

本記事では、NPO法人の参考サイトを解説し、ホームページを作る上で必要なコンテンツやポイントについて詳しく紹介しました。

NPO法人にとってホームページは、魅力的かつ価値あるコンテンツを提供することで、団体のビジョンやメッセージをより多くの人に伝えられる、とても重要な場となります。
そして、多くの人へ届けられたメッセージが支援へと繋がり、課題解決への一歩となるのです。

本記事でご紹介した内容が、これからホームページの立ち上げ、もしくはリニューアルを検討している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。