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2024年度のIT導入補助金は、新たな展開を迎えます。
前年度からの重要な変更点は、ECサイト制作が補助の対象外となり、「インボイス枠」が新設されることです。また、補助対象者や、小規模事業者への補助率の一部改変も決定されています。

本記事では、2024年度に向けた変更点についての解説と、現時点で判明している「IT導入補助金2024」の概要を詳しくご紹介します。

※IT導入補助金2024の詳細がわかり次第、本記事の内容を随時更新予定です。

IT導入補助金2024は2024年2月16日(金)から申請受付が開始予定!

2023年12月11日「IT導入補助金2024」の制度概要が、サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局のポータルサイトで発表されました。このセクションでは、現時点で発表されている前年度からの変更点について解説していきます。

ECサイト制作は対象外に(補助対象ITツールの見直し)

2023年度まで「デジタル化基盤導入類型」で補助対象とされていたECサイト制作ですが、今回の発表により補助対象外となることが明記されました。
補助対象となるITツールの見直しにより、新設された「インボイス枠(インボイス対応類型)」では、インボイス制度に対応した会計、受発注、決済機能を有するソフトウェアのみが対象となりました。

支援枠が改変、「インボイス枠」を新設

IT導入補助金2024の大きな変更点の一つに「インボイス枠」の新設があります。それに加え、その他の支援枠にも改変がありました。
「インボイス枠」の新設を軸に改変が行われたものの、赤字部分から読み取れる通り、その他の支援内容に大きな変更はないようです。

引用元:中小企業庁:中小企業対策関連予算「IT導入補助金2024」PDFより

ECサイト制作時の補助対象やインボイス枠については詳細が分かり次第次第、以下の記事にて随時更新予定です。

小規模事業者への補助率が一部拡大

大きな変更はないものの、新設される「インボイス枠(インボイス対応類型)」では、インボイス制度に対応した会計、受発注、決済ソフトの導入補助額が50万円以下の場合、小規模事業者に対して補助率が4/5に拡大されました。
補助額が50万円超の場合でも、補助額のうち50万円以下については3/4(小規模事業者4/5)、50万円超の分については2/3と、小規模事業者への補助が手厚くなったことが解ります。

IT導入補助金とは?

IT導入補助金は、経済産業省中小企業庁が2017年に開始した労働生産性の向上を目指し、業務の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたITツール(ソフトウェアやサービスなど)の導入を支援する補助金制度です。

補助額は最大450万円で、ITの積極的な導入による課題解決や業務の効率化、拡大をサポートしています。

補助の対象になるのは、登録済みのITツールやクラウド利用費、ハードウェア購入費、IT導入支援事業者によるコンサル料なども含まれます。

IT導入補助金の対象となる事業者は?

2023年度まで対象となる事業者は、中小企業、個人事業主、フリーランスなどの小規模事業者でしたが、2024年度からは大企業等も補助の対象となりました。
対象事業者の規模は、資本金や従業員数で定められているため確認が必要です。要件を満たせば、以下でご紹介する補助金枠全てが対象となります。

IT導入補助金2024の種類別 概要

IT導入補助金は2017年から始まり、時勢に合わせ毎年改定されています。本項では、2024年度の支援枠の概要をご紹介します。

通常枠

・生産性の向上に役立つITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用を補助
・クラウドサービス使用料を最大2年間補助
・保守運用等に関連する導入費用を補助

▼補助額(補助率)
【ITツールの業務領域が1〜3】5万円〜150万円未満(補助率1/2)
【ITツールの業務領域が4〜以上】150万円〜450万円以内(補助率1/2)

インボイス枠(インボイス対応類型)

2023年10月1日に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応に特化した支援枠です。
・会計、受発注、決済ソフトに加え、PC、タブレット、レジ、券売機等のハードウェア導入費用も補助
・小規模事業者は最大4/5補助し、補助下限は無く安価なITツール導入が可能

▼補助額(補助率)
【インボイス制度に対応するITツール(会計・受発注・決済ソフト)】
①50万円以下(中小企業の補助率:3/4 小規模事業者の補助率:4/5)
②50万円超~350万円(補助率:2/3)
【PC・タブレット等】~10万円(補助率:1/2)
【レジ・券売機】~20万円(補助率:1/2)

インボイス枠(電子取引類型)

取引関係において、発注者(大企業を含む)が負担する、インボイス制度に対応した受発注機能を持つITツールの費用の一部を補助し、これにより受注者である中小企業や小規模事業者等が無償で利用できるよう支援。

▼補助額(補助率)
~350万円(中小企業の補助率:2/3 大企業の補助率:1/2)

複数社連携IT導入枠

・10者以上の中小企業、小規模事業者等が連携した、インボイス制度への対応やキャッシュレス決済を導入する取組等を補助
・連携のための事務費、専門家費も補助対象

▼補助額(補助率)
①インボイス対応類型の対象経費と同様(補助率:インボイス対応類型と同様)
②50万円×グループ構成員数(補助率:2/3)
①+②合わせて〜3,000万円

セキュリティ対策推進枠

・独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているセキュリティサービスの利用料を補助

▼補助額(補助率)
5万円〜100万円(補助率1/2)

IT導入補助金2024の申請スケジュール

2024年度の各公募回のスケジュールは以下の表の通り予定されています。なお、申請受付開始日は2024年2月16日(金)を予定しています。

通常枠
1次締切分締切日2024年3月15日 (金) 17:00
交付決定日2024年4月24日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年10月31日 (木) 17:00
事業実績報告期限2024年10月31日 (木) 17:00
2次締切分締切日2024年4月15日 (月) 17:00
交付決定日2024年5月27日 (月) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
3次締切分締切日2024年5月20日 (月) 17:00
交付決定日2024年6月26日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
インボイス枠(インボイス対応類型)
1次締切分締切日2024年3月15日 (金) 17:00
交付決定日2024年4月24日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年10月31日 (木) 17:00
事業実績報告期限2024年10月31日 (木) 17:00
2次締切分締切日2024年3月29日 (金) 17:00
交付決定日2024年5月8日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年10月31日 (木) 17:00
事業実績報告期限2024年10月31日 (木) 17:00
3次締切分締切日2024年4月15日 (月) 17:00
交付決定日2024年5月27日 (月) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
4次締切分締切日2024年4月30日 (火) 17:00
交付決定日2024年6月6日 (木) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
5次締切分締切日2024年5月20日 (月) 17:00
交付決定日2024年6月26日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
インボイス枠(電子取引類型)
1次締切分締切日2024年3月15日 (金) 17:00
交付決定日2024年4月24日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年10月31日 (木) 17:00
事業実績報告期限2024年10月31日 (木) 17:00
2次締切分締切日2024年4月15日 (月) 17:00
交付決定日2024年5月27日 (月) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
3次締切分締切日2024年5月20日 (月) 17:00
交付決定日2024年6月26日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
複数社連携IT導入枠
1次締切分締切日2024年4月15日 (月) 17:00
交付決定日2024年5月27日 (月) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
セキュリティ対策推進
1次締切分締切日2024年3月15日 (金) 17:00
交付決定日2024年4月24日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年10月31日 (木) 17:00
事業実績報告期限2024年10月31日 (木) 17:00
2次締切分締切日2024年4月15日 (月) 17:00
交付決定日2024年5月27日 (月) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00
3次締切分締切日2024年5月20日 (月) 17:00
交付決定日2024年6月26日 (水) (予定)
事業実施期間交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00
事業実績報告期限2024年11月29日 (金) 17:00

締切や提出期限を超えた場合は、いかなる理由であっても受付されませんので、余裕をもった申請、提出を心がけましょう。

IT導入補助金2024の申請に必要な書類

現在、2024年度の制度概要詳細には必要書類に関しての記載はありません。掲載され次第、本項で紹介していきたいと思います。
以下、ご参考までに2023年度の必要書類を掲載します。

法人の場合

  • 履歴事項全部証明書
  • 法人税の納税証明書(その1またはその2)

個人事業主の場合

  • 本人確認書類(運転免許証、運転経歴証明書、住民票のうちいずれか1つ)
  • 所得税の納税証明書(その1またはその2)
  • 確定申告書Bの控え(税務署が受領したことがわかる直近分)

履歴事項全部証明書や住民票は発行から3か月以内の書類が必要となります。
必要書類に不備がある場合、申請が受理されないことがありますので注意が必要です。

IT導入補助金2024の申請方法・流れ

申請に必要な手続きは補助金を申請する事業者とITベンダー・サービス事業者で異なります。

引用元:IT導入補助金2024公式サイト「新規申請・手続きフロー」

事業者側での交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウントが必要となります。アカウントID発行まで約2週間を有するほか、「SECURITY ACTION」宣言や「みらデジ経営チェック」など、申請要件を満たすためには必須要件となっているため、申請の流れを把握して計画的に進めましょう。

下記に申請方法・流れについてまとめています。

STEP1:IT導入補助金2024への理解

まずは交付申請の手引きや、公式サイトを参考にIT導入補助金2024を理解し準備をすすめてください。

参考:IT導入補助金2024|事業概要

STEP2:gBizIDプライムアカウントの取得、SECURITY ACTIONの実施

gBizIDプライムアカウントの取得して、SECURITY ACTIONを実施します。
交付申請前に必ず行う必要があります。

gBizIDプライムアカウントの取得

交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウント(ID、パスワードなど)が必要となります。取得がまだの場合は「gBizID」ホームページより取得します。

※gBizIDプライムアカウントのID発行には約2週間かかります。まずは、アカウントの取得から始めましょう。

SECURITY ACTION

この宣言は、中小企業、小規模事業者がみずから情報セキュリティ対策に取組むことを宣言する制度で、「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言する事を要件としています。

※交付申請作成時には宣言済みアカウントIDの入力が必要となります。宣言方法の詳細は、「SECURITY ACTION新規申込み手順書」をご覧ください。

STEP3:みらデジ経営チェックの実施

「みらデジ」ポータルサイト内にgBizIDで登録し、「経営チェック」の実施が必要です。「みらデジ」は、中小企業庁が実施する中小企業、小規模事業者等の経営課題をデジタル化により解決することをサポートする制度です。

宣言方法の詳細は、「みらデジポータルサイト」をご覧ください。

STEP4:「IT導入支援事業者の選定」と「ITツールの選択」

補助金の交付申請を行う準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。

IT導入支援事業者とは、事業者のITツールの提案・導入および事業計画の策定の支援など、各種申請等の手続きのサポートを行うベンダーを指します。一般的にはITツールを提供している事業者や制作会社などが該当します。
IT導入支援事業者は、事務局に登録済の事業者である必要があります。

STEP5:交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)

IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。
その後、中小企業、小規模事業者等の交付申請は以下の流れで行われます。

  1. IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受ける
  2. 交付申請に必要となる情報を入力、書類を添付
  3. IT導入支援事業者は、導入するITツール情報、事業計画を入力
  4. 申請マイページ上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出

STEP6:ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)

交付申請を完了し、事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注、契約、支払いなどを行います。

※交付決定の連絡前に発注、契約、支払いをすると、補助金の交付を受けることができませんので注意が必要です。

STEP7:事業実績報告

補助事業の完了後に実際にITツールの発注、契約、納品、支払いなどがわかる証憑を提出します。

  1. 補助事業者が申請マイページから事業実績報告を作成
  2. IT導入支援事業者が内容の確認及び必要情報を入力
  3. 補助事業者が事務局に事業実績報告を提出

STEP8:補助金交付手続き

事業実績報告が完了して補助金額が確定すると、申請マイページで補助額を確認できるようになります。内容を確認後、補助金が交付されます。

STEP9:事業実施効果報告

事業実施効果報告は、決められた期日内に補助事業者が申請マイページより必要な情報を入力し、IT導入支援事業者への確認をへて、提出します。

まとめ

IT導入補助金2024では、「デジタル化基盤導入枠」の廃止によりECサイト構築が補助対象から外れたこと、「インボイス枠」が新設されたことが最も大きな変更点と言えるでしょう。

しかし、依然として業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援し、労働生産性の向上を目的とする補助金という指針は変わりません。これらのITツール導入を検討している事業者の方々は、是非、IT導入補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

今後詳細がわかり次第、本記事の内容を随時更新していきます。

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